5歳ぐらいまでの子役のレッスンで私が一番大切にしていること。
それは
「出来ているか? 出来ていないか?」
ではなく、
「見えているか? 見えていないか?」
という視点です。
「出来ない理由」を知ることが重要で、
子どもが何かを「出来ない」と感じるとき、その理由が明確でなければ、ただ無理にやらせることになりかねません。そうすると、形だけの表現になってしまいます。
逆に、理由が分かれば、我々がちゃんと理解をしていれば自然と出来るようになるのです。
レッスンで、子どもが指示を聞かない事はよくあります。そんな時、レッスン後にお母さんが申し訳なさそうにこう言います
「先生、すみません。ウチの子が言うことを聞かなくて……」
そんなとき、私はこう伝えます。
「この子は状況をちゃんと理解しているし、私の指示も聞こえています。ただ、今は自分の気持ちを優先していて、やりたくないだけなんです。出来ないわけではなく、「今はやらない」という選択をしただけ、だから焦らず、やりたくなるまで気長に待ちましょう。最終的に出来るようになるなら、どれだけ時間がかかっても構いません。一緒に待ちましょう!」
状況を正しく見ている子は、半年も待たずにやる気を見つけることが多いです。そして、その瞬間を迎えたとき、子どもたちはレッスンが終わると満面の笑顔でお母さんの元に駆け寄り、嬉しそうにハグをします。
その姿を見て、私はこう感じます。
子どもたちのベクトルが「自分がやりたいこと」から「ママが喜んでくれること」へと変わり、そこに幸せを見つけられるようになったのだ、と。
子役の成長は、ただ技術を身につけることではなく、心の中で新しい価値観を育てていくことでもある。