僕がかつて所属していた劇団の後継団体が、来年解散するらしい。
そのニュースを聞いたとき、不思議と心にぽっかり穴が空いたような気分になった。
自分から辞めた劇団なのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう?
ふと、昔のことを思い出した。
上京して何年か経った頃、地元・名古屋で一緒に演劇をしていた仲間から連絡があった。
「結婚式に出席してほしい」とのこと。もちろん嬉しかった。心から祝福した。
でも、その後の彼の一言が、妙に胸に引っかかったのだ。
「僕があの頃、演劇をしていたことを証明できるのは、祐介しかいないんだよね。」
その言葉自体に悪意はないし、普通なら何とも思わないはずだった。
でも、当時の僕は心が尖っていて、余裕がなかったのかもしれない。
常にもがいていたし、どこか空回りしていたのだろう。
だからだろうか。心の中でこう叫んでいた。
「俺はお前が演劇をしてたことを証明するために芝居してるんじゃない!」
もちろん口には出さなかったけど、でも、そう思ってしまった自分がいた。
そして、今。劇団の解散の知らせを目にして、こんな言葉が頭をよぎった。
「僕が、つかこうへい作品を全力でやっていた時間を、誰も知らなくなるかもしれないな。」
なんだそれ?
なんて情けないんだろう、と思った。
かつての自分を振り返る必要なんてないはずなのに、どこかで「証明」したがっている自分がいる。
大切なのは「今」。
僕は今を全力で生きようと思ってます。
時々、昔を懐かしみながら。